2011年5月31日火曜日

ガス灯から始まった近代照明の世界(2)

白色のLEDが誕生し、現在の照明用途へ普及するきっかけを作ったのは、青色発光ダイオードが開発されてからです。1980年代中頃までに純赤色は実用化されていたものの、青色は実用的な高い輝度を出す製品が存在していませんでした。



この青色発光ダイオードを製品開発したのは、当時日亜化学に在籍していた中村修二氏。エジソンの電球にも匹敵すると言われるこの技術革新は、404特許と呼ばれていました。この404特許をめぐり中村氏は日亜化学工業を提訴し、同特許の原告への帰属権確認ないし譲渡対価を巡って係争しました。この訴訟は企業と職務発明者との関係について社会の関心を広く喚起し、日本の発明史上最高金額となる8億4000万円を会社側が支払うことで和解しています。

とにもかくにも、こうしてLEDは白色光を作る土台を築きました。現在、白色光を作る方法としては色々あるようなのですが、一般的には疑似白色(チップメーカーの人はこの呼び方を嫌いますが)が今の主流となっているようです。

擬似白色発光ダイオード 

現在の白色発光ダイオードの主流であり、一般に青黄色系疑似白色発光ダイオードと呼ばれている。視感度の高い波長である黄色に蛍光する蛍光体と青色発光ダイオードとを組み合わせることによって、視覚上で大変に明るい白色 発光ダイオードを実現している。青色発光ダイオードの製造を行っている日亜化学は元々蛍光体の製造メーカーであるためこの方式を得意としている。豊田合成 も同方式を用いている。この方式により作成された白色発光ダイオードが、世界初の白色発光ダイオードとされている。擬似白色発光ダイオードは世界的にインパクトを与えた青色発光ダイオードの発表の後だったため、この白色LED実現の報道は控えめであったが、業界内では大きなニュースであった。<ウィキペディアより>


 このように、照明分野に進出したLEDは、信号機をはじめ多くの製品に搭載されるようになってきています。もちろん、「省エネ」「節電」というキーワードがフォーカスされていますが、今後はLEDの省スペースまたは制御性を活かしたものが出てくるのではと思っています。

たとえば、やぼったいデスクライトも

ミケーレ・デ・ルッキによるLEDデスクランプ「JUNIPER」
スリムな感じに。

メカニカルな雰囲気も

ハビエル・マリスカル「LOTEK」
電球や蛍光灯では作れないデザインに。

極めつけは、建築物自体がLEDに適した形に。

―アルミ構造体を用いた環境共生型住宅の照明―






<ref.>
http://app2.infoc.nedo.go.jp/kaisetsu/nan/nan09/images/nan09_t01a.jpg
http://ja.wikipedia.org/wiki/発光ダイオード
http://gqjapan.jp/2011/04/14/今年は照明の年
http://www.tdwa.com/dezeen/environment/26_27a-ring_by_atelier_tekuto.html

2011年5月11日水曜日

ガス灯から始まった近代照明の世界(1)

いわゆる、近代照明の最初のプロダクトと言えば、ガス灯になるのかもしれません。
正直、あの雰囲気を醸し出すガス灯を見るとなぜだか「イイ!」という感じになります。


ガス灯を最初に製作したのは、スコットランド人のウィリアム・マードック氏と言われています。1797年にイギリスのマンチェスターにガス灯を設置したところから、世界に明かりがともり始めます。
日本では、1871年に大阪市の造幣局周囲にガス灯が設置されました。
当時のガス灯の明るさは、今と比べるとかなり暗いのですが、ろうそくや石油ランプしかなかった当時の人々からすると明るく感じたようです。いまのLEDもそうですが、視覚的や感覚的な「慣れ」って結構大事だなと思います。

造幣博物館にて展示されているガス灯

その後、1879年にエジソンが白熱灯を実用化。1926年にはドイツ人のエトムント・ゲルマー氏が蛍光灯を発明し、その特許を購入したGEが1938年に発売しました。また、1934年には、水銀灯の発売も始めています。

1940年代当時の広告

 LEDは、1962年ニック・ホロニアック氏(現イリノイ大学教授)が発光ダイオードを開発したところから歴史が始まります。ホロニアック氏はイリノイ大学で電気工学について学び、そこで半導体に出会っています。その後、ベル研究所でシリコンデバイスに取り組み、GEで物性工学(solid state science)の研究にあたっています。現在は82歳ながらバリバリの現役研究者としてご活躍されています。



1990年代から赤色、青色、緑色のLEDが開発されて光の三原色(R/G/B)が出揃い、フルカラーディスプレイなどへの用途が可能になりました。そして1996年、白色LEDが実用化されてから、照明用途での展開が可能になりました。




<References>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%82%B9%E7%81%AF
http://www.mint.go.jp/plant/newexhibition_2.html
http://michikusa-ac.jp/archives/2484755.html
http://www.ge.com/innovation/timeline/index.html
http://www.highbeam.com/doc/1P2-1562141.html